小さなビオトープを設置するにあたり、その容器の選び方や地形の作り方について、最も基本的な部分に触れておきます。
【その1】容器の深さと水温変化
【夏場の話】
深ければ深いほど、昼間の温度上昇が緩やかになります。
これは『日照の影響を受ける水面の単位面積に対して水量が大きい』という理由です。
2005〜2006年の実験では、深くて小さい180リットルのプラ舟(水深25センチ)と、
浅くて広い220リットルのプラ舟(水深平均14センチ)では、炎天下の水温ピークに10度以上の差が出ています。
浅くて広いプラ舟では、水温が40度近くまで上昇することもあり、深いプラ舟では同じ条件でもほぼ30度以下の水温を保つことが出来ました。
水の蒸発による水位の低下については、植物からの蒸発などの影響も大きく、深ければ蒸発量も比例して少ないというわけではありませんが、
深い容器であれば、水位が下がってもある程度の深さを確保できますので、その部分では『水位低下にも強い』と言えます。
なお、水温に関しては、日照条件や、地面との接地部分の状況、植物繁茂の影響なども大きく、必ずしも浅いプラ舟が適していないわけではありません。
様々な工夫で、水温上昇を抑えることが出来ますので、ここでは、あくまで基本法則としての話です。
【冬場の話】
冬場は容器の形状に関わらず水温は低下します。問題なのは、雪が積もった場合に底まで氷が達するかどうかです。
底までシャーベット状になった雪が達する状態であると、中にいる生物達が死んでしまう可能性が高くなります。
ある程度の深さを確保できる容器であれば、上部に雪が積もっても底まで凍りつく心配はありません。浅い容器の場合は、雪の日には上部にふたをしておくなどの対応が必要になる場合があります。
【その2】表面積の広さと植物の育成面積
水面が広ければ広いほど、より多くの植物が元気に育ちます。日照の影響を受ける水面の面積が大きいわけですから、植物は多くの日光を受けられるようになる上、より広い範囲に余裕を持って伸びていけます。そのため、植物が密集して上へ上へと伸びていく口の狭い容器の植物と比べて元気に育つようになります。植物の繁茂に伴い、水質はより安定することになります。
より面白いビオトープを作ろうと思うなら、水面が広い容器を選ぶほうがいいと(私は)思います。水面が小さいと、水面より上に展開する植物が少なくなるので、変化にとんだ空間を作り出すのは難しくなってくるからです。
しかし、単位水量に対する日照量が大きくなるので、温度変化や水質変化が大きくなります。水質に関しては、植物が繁茂するようになれば気にしなくても良くなりますし、水面上を植物が覆い、日陰になるようになれば、そのことも水温の安定に寄与するようになります。
なお、植物が繁茂して水面を日陰にするということは、日光があたるそれらの植物から、より多くの水分が蒸発していくことを意味します。雨が少ない時に足し水を忘れると、悲劇的な状況がやってくるでしょう。2004年は、少なくなった水の温度が40度を越え、おたまじゃくし全滅&ミナミヌマエビ半分死亡という悲劇がありました。
【その3】様々な地形の再現
極端に言えば地形の変化があればあるほど良いと言えます。
前項でも触れたのですが、ビオトープは「より多くの種類の植物と生物が共存するのが素敵」というのが基本です。後で触れますが、植物には、浅瀬に生える植物や、深いところで育つ植物があるわけです。また、同じ魚でも、稚魚と成魚では、生活空間が違ったりします。より多品種の植物や生物が生活できるようにするためには、より変化に富んだ地形が必要ということになります。
ひとつの空間に変化に富んだ地形を作ることで、より多くの植物と生物が共存できるようになります。メダカ稚魚や稚エビ、ミジンコなどは、親メダカなどを避けるため、或いは餌を求めて浅瀬に集まるようになります。浅瀬という地形を作って微生物や稚魚のオアシスを再現することにより、生物の多様性を再現するばかりでなく、「四季の変化」という側面からも楽しみが増えるようになります。
地形の作り方は、まあ、色々あるでしょうが、土面が浅瀬になるレベルの鉢植えを鎮めるというのが一番簡単です。もちろん容器をレンガなどで区切って浅瀬を作る方法もあります。私はブロックで区切って作りました。増えてきた植物を間引くのが面倒だったりしますが、見た目は良くなります。まあそのあたりは主観ですんで、どーでも良いのですが、地形に変化をつけること自体は是非お勧めします
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